シルクスクリーンプリントで美しい仕上がりを実現するには、版ズレを未然に防ぐデータ作成が非常に重要です。PLANSを使って、色ごとにレイヤーを分け、さらに版ズレ防止のためにデザインの選択範囲をわずかに拡張してデータを作成する手順を詳しく解説します。
1. 色ごとにレイヤーを分ける
まず、デザインを色ごとに整理し、それぞれの色を独立したレイヤーに分けます。
- 色まとめした、インデックスカラー画像を開きます。
- 表示メニュー>リピート表示 を選択し、正送りになっていることを確認します。
正送りにするには、(リピート展開)ハーフステップを正送りにするには を参照してください。

- レイヤーメニュー>色毎にレイヤーを作成 を選択します。
- カラーモードを(例:RGBカラー)を選択して「OK」をクリックします。
これで、使用している色数分のレイヤーが作成されます。
(ドキュメントのカラーモードはRGBカラーになりますが、各レイヤーはインデックスカラーのままです)


2. 版ズレ防止用に選択範囲を1px拡張(塗り足し)する
次に、版ズレを防止するための重要な工程です。各レイヤーのデザイン部分の選択範囲を1px拡張し、塗り足しを行います。
- 作業したい色(レイヤー)を選択します。
- 自動選択範囲ツールを選択し、オプションバーの「隣接」のチェックを外して、デザインの色を選択します。

- 選択範囲メニュー>選択範囲を変更>拡張 を選択します。
- 「拡張量」に「1px」と入力し、「OK」をクリックします。


この作業を各色(各レイヤー)ごとに繰り返します。


レイヤーの描画モードを「乗算」に変更すると、重色部分を確認できます。これはドキュメントがRGBカラーモードの時に使用できます。
自動選択範囲ツールを使用する際に動作が重くなった場合は、表示倍率を100%以上にすると改善されることがあります。作業しやすい倍率に調整してください。
3. デザインデータを書き出す
最後に、製版用のデータを書き出します。
TIFFでレイヤーと選択範囲を保持して書き出す場合
レイヤー情報と選択範囲を保持したままTIFF形式で書き出します。
- ファイルメニュー>書き出し>TIFF(レイヤー情報付き)を選択します。
- 書き出しする場所を選択してファイル名を入力し、「保存」をクリックします。

PhotoshopでTIFFデータを開いた際に「このドキュメント内には、破損していると思われる Photoshop データが含まれています。Photoshopデータを無視して続行しますか?」というアラートが表示される場合があります。「OK」で進むと正しく開けます。念のため、データの内容もご確認ください。
レイヤーごとに個別のイメージファイルとして書き出す場合
各色ごとの版データとして、独立したファイルが必要な場合に便利です。
- レイヤーを選択します。(複数選択可)
- レイヤーメニュー>レイヤーイメージ書き出し>・・イメージ を選択します。
(PNG/JPEG/TIFF/Windows BMP) - 書き出しする場所を選択してファイル名を入力し、「保存」をクリックします。
各レイヤー(各色)ごとに個別のイメージファイルが書き出されます。


なぜ選択範囲を拡張するの?
この「1px拡張」という工程は、シルクスクリーン印刷における版ズレを防止するために行います。
- 版ズレとは?: 印刷時にインクがわずかにずれてしまう現象のことです。
- 拡張の目的: 選択範囲をわずかに拡張することで、色と色の境界部分にわずかな「塗り足し」ができます。これにより、印刷時に版がわずかにずれても、色の間に白い隙間ができてしまうのを防ぎ、仕上がりがきれいになります。
シルクスクリーン印刷の仕組み
シルクスクリーン印刷は、デザインの形に穴を開けた「版(スクリーン)」にインクを押し付けて印刷する方法です。多色のデザインを表現する場合は、色ごとに異なる版を作成し、それらを順番に重ねて印刷することで、デザインを完成させます。
シルクスクリーン印刷の具体的な方法や、入稿データの詳細な要件については、依頼される印刷業者さんの指示に必ず従うようにしてください。
この手順で、シルクスクリーン印刷に適したデザインデータを作成し、版ズレのない美しい仕上がりを目指しましょう。